マクルーハンという社会学者が60年代に”人間拡張の原理”という本を出しました。これはメディアの発達によって人間の感覚がどんどん拡張していくという事を唱えたものでした。
それから20年余り経って、80年代にマクルーハンが再びブームになって、ニューメディアの台頭とメディアの拡張という言葉がまさに現実を帯びてきた感があったのです。私も何となく、その眩惑な印象の中マクルーハンの本を片手に少し未来の予言書を持ち歩くような感じで少し優越感に浸りながら大学内を歩いていたものです。
そしてさらに30年の歳月が経ち、本当の意味での人間の感覚の拡張が始まっている気がします。ARという言葉は、Argumented Reality 人間の知覚や感覚を拡張して現実環境にしていくことです。これにはコンピュータや新しいメディアが密接に関わっています。しかしARを単に新しい合成ツールなどと訳してはダメです。